金融教育の豆知識

2022.11.22

金融教育とは?
2022年から高校で拡充された
理由や必要性、内容について解説

2022年4月より、高校にて金融教育の授業が拡充されました。
金融教育が学校で推進されるようになったのは2005年のことで、それ以降、各教科の学習指導要領に金融教育の内容が盛り込まれるようになりましたが、あらためて「金融教育って何?」と聞かれると、うまく説明できない方も多いでしょう。
この記事では、金融教育の概要や、金融教育を始めるタイミング、高校で拡充された理由、金融教育で学ぶ内容について解説します。

金融教育とは

まずは金融教育とは何か、その定義と目的などの基礎知識を説明します。

金融教育の定義

金融教育とは、お金や金融のさまざまな働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きつつ、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて主体的に行動できる態度を養う教育のことです。[注1]

金融教育は、各学校段階で一貫して求められる「生きる力」、すなわち自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力などを養う上で、有効な手段を提供できる教育とされています。

[注1]金融広報中央委員会 知るぽると「1.金融教育のねらいと基本的性格(1)金融教育とは?」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/program/program01/program101.html

金融教育の目的

金融教育を学ぶ目的は、「自立する力の養成」と「社会とかかわる力の育成」が主軸になります。[注2]

「自立する力の養成」では、まず生計を立てるためには、働いて収入を得る必要があることを自覚します。

自立に向けて積極的に働き、その辛さや楽しさ、意義を体験・理解することで、今後なりたい自分や、よりよい生き方について考える態度を身につけることができます。

また、働くことを通じてお金の大切さを知ると共に、使えるお金には限りがあることを理解して、どれだけ消費し、どのくらい貯蓄するかを考えるきっかけにもなります。

手元にあるお金をどのように振り分けるか考えることにも、大変さや楽しさ、工夫することの面白さがあります。

さらに、これらの体験を通じて資産計画を立てて将来設計を行うと共に、今後起こりうるリスクの予防・対策を講じることも、自立心の養成につながります。

「社会とかかわる力の育成」では、人が社会に支えられていると同時に、社会に働きかける存在でもあることを学びます。

金融の働きや経済の仕組みを理解すると共に、職場体験などの体験学習を通じて自分がさまざまな人の支えや関係性のもとで生かされていることを知れば、社会に感謝する気持ちが生まれます。

まわりや社会に感謝の心を抱くようになれば、自らも社会に貢献したいと願うようになり、よりよい社会を築くために自分が何をしていくべきか、主体的に考えるようになります。

[注2]金融広報中央委員会 知るぽると「1.金融教育のねらいと基本的性格(3)金融教育の意義と魅力」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/program/program01/program103.html

金融教育を始めるタイミング

年齢やライフステージに合わせて金数知識を学ぶイメージ

2022年4月より高等学校で金融教育が拡充されましたが、金融教育は高校から始めればいいのかと言うと、必ずしもそうではありません。

実際、金融庁では「小学生のみなさんへ」「中学生・高校生のみなさんへ」といったお金に関することを学べるコンテンツを紹介しています。
また、金融広報中央委員会では「金融教育プログラム 学校における金融教育の年齢層別目標」として、小学生(低・中・高学年)、中学生、高校生に分けて、それぞれの年齢層別に金融教育プログラムを策定しています。[注3]

つまり、早ければ小学校低学年の頃から金融教育を始めることも可能です。
ある程度成長してから金融教育を始めると、「難しそう」「大変そう」というイメージが先行してしまうおそれがありますが、小学校低学年の場合、道徳の時間に「お金は大切に使おう」「欲しいものをすべて手に入れることはできないことを知ろう」など、実生活に基づいた知識を得るところから始めるため、強い抵抗を感じにくいでしょう。

その後、学齢に応じて金融教育は徐々に難しくなっていきますが、導入部分の抵抗をなくせば、知識をスムーズに取り入れやすくなります。

以上のことから、金融教育は早ければ早いほど良いとされていますが、大切なのは年齢やライフステージに合わせた金融知識を学んでいくことです。

小学校で金融教育になじみがなかった場合でも、中学生や高校生の生活、ライフステージに合った教育プログラムを取り入れれば、金融教育の目標を達成できるでしょう。

[注3]金融庁「小学生のみなさんへ」「中学生・高校生のみなさんへ」
https://www.fsa.go.jp/teach/shougakusei.html
https://www.fsa.go.jp/teach/chuukousei.html

金融広報中央委員会 知るぽると「金融教育プログラム学校における金融教育の年齢層別目標【改訂版】」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/program/mokuhyo/pdf/mokuhyo000.pdf

高校で金融教育が拡充される理由

2022年より高校で金融教育が拡充されることになった理由は、大きく分けて3つあります。

成年年齢の引き下げ

2022年4月より成年年齢が引き下げられ、高校在学中の18歳でも親権者の同意なしで携帯電話を購入する、一人暮らしのアパートを借りる、クレジットカードを作成する、ローンを組んで自動車を購入することなどが可能になりました。[注4]

その一方で、これまで認められていた未成年者取消権(未成年が親権者の同意を得ずに契約した場合、原則として契約を取り消せる権利)を行使できなくなるため、悪徳商法などによる消費者被害の拡大が懸念されています。[注5]

そこで政府では、高校における金融教育の充実を図ることで、18歳で成年を迎える子どもたちに十分な知識を習得させ、金融を巡るトラブルの防止実現を目指しています。

[注4]法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」p2
https://www.moj.go.jp/content/001261887.pdf

[注5]法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」p3
https://www.moj.go.jp/content/001261887.pdf

経済環境の変化

かつて資産形成といえば預貯金が一般的でしたが、今の超低金利時代、お金を預けているだけではほとんど増やせず、満足に資産を作ることができません。

雇用形態も時代に合わせて変化し、定年まで勤めれば退職金を元手に悠々自適のセカンドライフを過ごせるという保障はなく、老後に向けて自らが積極的に資産形成を行わなくてはならない時代になりつつあります。

資産形成には金融や経済に関する知識・判断力の養成が必要不可欠ですので、社会に出る前の高校生の段階から必要な金融教育を施しておけば、老後の資金づくりを計画的に進めることが可能になります。

海外と比較した場合の日本の金融教育の遅れ

日本の金融教育水準は世界各国に比べると著しく低いと言われています。

金融広報中央委員会がまとめた資料によると、金融リテラシー・マップの8分野に基づいた全53問の正誤問題を比較すると、金融知識についての正答率は英国、ドイツ、フランスがともに日本を上回る結果になりました。[注6]

一方、米国との比較では、「金融知識に自信がある人」の割合が米国では71%と大半を占めているのに対し、日本は12%とごく少数であったことが報告されています。[注7]

以上のことから、日本は欧米諸国に比べて金融教育が遅れており、金融知識への自信も著しく損なわれていることがわかります。

経済のグローバル化が進んでいる今、諸外国に比べて金融リテラシーが低いことは大きな問題であり、学生のうちから金融教育を充実させて日本の金融教育の遅れを取り戻すことが重要な課題となっています。

[注6]金融広報中央委員会 知るぽると「『金融リテラシー調査2022年』の結果」p18
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/2022/pdf/22literacyr.pdf

[注7]金融広報中央委員会 知るぽると「『金融リテラシー調査2022年』の結果」p17
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/2022/pdf/22literacyr.pdf

金融教育は何を学ぶ?

金融教育を受ける高校生のイメージ

金融教育では、以下4つの分野を学びます。

  • 生活設計・家計管理に関する分野
  • 金融や経済の仕組みに関する分野
  • 消費生活・金融トラブル防止に関する分野
  • キャリア教育に関する分野

以下では高校で学ぶ金融教育を分野ごとに説明します。

生活設計・家計管理に関する分野

生活設計・家計管理に関する分野は、さらに「資金管理と意思決定」「貯蓄の意義と資産運用」「生活設計」「事故・災害・病気などへの備え」の4つに区分されます。

家計の収支構造の理解、生涯を見通して資産形成を行う必要性の確認、生涯収入や支出の内容に基づいた生活設計の策定、日常におけるさまざまなリスクへの対策などを中心に学習します。

金融や経済の仕組みに関する分野

金融や経済の仕組みに関する分野では、「お金や金融の働き」「経済把握」「経済変動と経済政策」「経済社会の諸課題」の4つに区分されます。

貨幣の機能や金融市場、証券市場などの働きと機能の理解、インフレ・デフレの意味や暮らしへの影響の把握に加え、課題解決に向けて合理的かつ主体的にかかわり考える態度を身につけるための学習が行われます。

消費生活・金融トラブル防止に関する分野

消費生活・金融トラブル防止に関する分野は「自立した消費者」「金融トラブル・多重債務」の2つに区分されます。

消費者契約法への理解を深めつつ、契約の意味や留意点の確認、契約や消費者信用に関する消費者問題が生じる背景、トラブルへの対応方法など、金融リスクに関する知識を学びます。

キャリア教育に関する分野

キャリア教育に関する分野は、「働く意義と職業選択」「生きる意欲と活力」の2つに区分されます。

働くことによって収入を得るのが基本であること、労働者の権利と義務を理解すること、将来の夢を実現するための現実的なステップや手段を考えることなど、仕事そのものへの意欲や理想を実現するための知識・スキルの習得を目指します。

高校の金融教育プログラムについてはこちらの記事(「金融教育で役に立つプログラムを紹介!2022年からの新しい教育への対応」)でもまとめているので、ぜひご参考ください。

まとめ

高校で金融教育が拡充された背景には、成年年齢の引き下げや経済環境の変化、日本の金融教育の遅れなどがあります。
日本ではまだまだ金融教育になじみがありませんが、早いうちから必要な知識を得ておけば、今後の消費生活や金融にまつわるリスク防止や人生設計、夢の実現などに役立ちます。

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