金融教育の豆知識

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2022.11.22

【授業で使える金融教育教材を紹介!】
金融教育の実情や概要も解説します

日本は諸外国に比べて金融教育の遅れが指摘されており、金融リテラシーの低さが懸念されています。
打開策として、学習指導要領の改訂にともなう2022年度からの高校での金融教育の拡充など、さまざまな取り組みが行われていますが、新たに指導する内容が増えたことで、教育現場は教材準備などの対応に追われています。
この記事では、金融教育の実状や、高校における金融教育の概要を説明すると共に、授業で使える金融教育教材をご紹介します。

若年層への金融教育加速の動き

金融教育そのものは、金融広報中央委員会が「金融教育元年」と名付けた2005年より推進されていますが、最近になって若年層への金融教育に加速の動きが見られるのは、成年年齢の引き下げと経済社会環境の変化という2つの背景があります。

民法改正にともない、2022年4月1日から成年年齢は従来の20歳から18歳に引き下げられ、かつて「未成年」とされた18歳および19歳でも、親親権者の同意なしに有効な契約を締結できるようになりました。[注1]
具体的には、クレジットカードの作成やローン契約などを一人で行えるようになったのです。

ただ、成年になると、未成年を対象に与えられる「未成年者取消権」が行使できなくなり、一度締結した契約を解約するのが難しくなります。[注1]
十分な金融リテラシーを持たないまま、成年としての権利を行使してしまうと、消費者被害が拡大するおそれもあるでしょう。

私たちの経済社会環境は、クレジットカードや電子マネー、暗号資産(仮想通貨)といったキャッシュレス決済が広く普及するなど、変化し続けています。
めまぐるしく変化する環境に対応し、適切な判断をするためには、金融に関する正しい知識と情報が必要不可欠です。

若年層が正しくお金に向き合うためには、適切な指導教材を活用した金融教育を早い段階で行うことが重要と言えます。

[注1]法務省「2022年4月1日から、成年年齢は18歳になります」p2,p5
https://www.moj.go.jp/content/001300586.pdf

高校での金融教育の概要

高校での金融教育のイメージ

金融教育は幅広く、かつ奥が深いものなので、年齢層に応じた学習プログラムに則って指導・教育する必要があります。

金融庁では、2019年にまとめた「金融経済教育について」という資料の中で、金融教育が拡充された高校について「最低限身につけるべき金融リテラシー」を以下のように定めています。[注2]

家計管理 自分のために支払われている費用を知り、家計全体を意識しつつ、よりよい選択・意思決定ができる
生活設計 職業選択と生活設計を関連付けて考え、生涯の収支内容を理解して生活設計を立てる
金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択 金融分野共通 お金や金融・経済の機能・役割を把握するとともに、預金・株式・保険など基本的な金融商品の内容を理解する
資産形成商品
  • 基本的な金融商品(預金・株式・保険など)の特徴とリスク・リターンの関係について理解し、自己責任で金融商品を選択する必要があることを理解する
  • リスク管理の方法や定期的に貯蓄・運用することの大切さを理解する
外部知見の適切な活用 トラブルに対処できる具体的な方法を学び、実際にそれを行使できる技能を身につける

高校3年間を、社会人として自立するための基礎的な能力を養う時期と位置づけ、卒業後にも役立つ実践的・実用的な知識の養成を目指します。

[注2]金融庁「金融経済教育について」p5
https://www.fsa.go.jp/kouhou/kurumaza/aomori20191213/03.pdf

金融庁が用意する金融教育教材

学校でどのような金融教育を行うのか、どのような教材や学習プログラムを導入するのかについては、各教育機関に一任されています。

ただ、日本ではこれまで十分な金融教育を行なってこなかったため、学校側もどのような教材を作ればいいのか判断しにくく、金融教育について指導すべきか行き詰まっているところも少なくないでしょう。
そこでおすすめしたいのが、金融庁や企業による金融教育サポートを活用することです。
生徒に学習してもらう際に活用するだけでなく、指導する先生方が金融教育について知識を身に付けたい際にも役立つでしょう。

ここでは、金融庁が提供している金融教育教材やプログラム、コンテンツについて解説します。

なお、金融教育の学習プログラムの詳細については、「金融教育で役に立つプログラムを紹介!2022年からの新しい教育への対応」 の記事を参考にしてください。

金融庁によるサポート

金融庁では、高校の先生等で構成された「高校家庭科における金融経済教育アドバイザリーボード」の監修を受けた指導教材を作成・提供しています。[注3]
以下では金融庁の指導教材で学べる項目を解説します。

[注3]金融庁「高校向け 金融経済教育指導教材の公表について」
https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/20220317.html

家計管理とライフプランニング~働いて「稼ぐ」ことと将来設計について

家計管理やライフプランニング、多様な働き方などについてまとめた項目です。[注4]
家計管理の定義を解説すると共に、大学生や社会人の生活の収支や、給与明細・賞与の支給明細などを例に挙げて家計管理の概要と仕方を説明しています。

そのほか、金融庁の公式サイト上で利用できるシミュレーターの使い方や、生涯の収支やライフプランニングの趣旨などについての説明も行っています。

[注4]金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」p25
https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/package.pdf

「使う」

ニーズとウォンツ、キャッシュレス決済のメリット・注意点などについてまとめた項目です。[注4]
必要なもの(ニーズ)と欲しいもの(ウォンツ)を区別する大切さを説きつつ、お金の使い方(キャッシュとキャッシュレス)についての解説を行っています。
特にキャッシュレス決済についてはメリット・デメリットの両方を提示することで、注意すべきポイントや自分に合った使い方の理解を深めます。

[注4]金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」p32
https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/package.pdf

「備える」~社会保険と民間保険

社会保険や生命保険、損害保険など、もしもの場合の備えについて解説した項目です。[注4]
病気やケガ、災害、事故など日常生活で起こり得るリスクを紹介し、これらのリスクに備えるための具体的な方法や仕組みを解説しています。
具体的には、保険の仕組みや社会保険と民間保険の違いを説明し、ライフプランに合った備えが必要であることを強調しています。

[注4]金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」p38
https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/package.pdf

「貯める・増やす」~資産形成

金融商品に関する基礎知識と特徴についてまとめた項目です。
資産形成の必要性と、資産形成を始めるにあたって押さえておきたい基本的な知識(利子と金利、単利と複利、金利の推移など)を紹介しています。
また、資産形成の手段として、預貯金や債券、株式、投資信託、といった主な金融商品の特徴をまとめています。

さらに、資産形成で発生し得るリスクとリターンとの関係性、金融庁HPにある資産形成シミュレーターの使い方なども学ぶことが可能です。

[注4]金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」p58
https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/package.pdf

「借りる」

お金を借りる方法や手段についてまとめた項目です。
ここでいう「借りる」とは消費者金融や銀行からの融資だけでなく、クレジットカードによる後払いや住宅ローンなども含まれます。
お金を借りるとはどういうことなのか、お金を借りるとどんなリスクが発生するのかをわかりやすく解説しています。

また、身近な問題として奨学金の仕組みや、大学在学中にかかる教育費・生活費などを取り上げているのも特徴です。

[注4]金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」p101
https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/package.pdf

金融トラブル

注意したい金融トラブルを、具体的な事例を挙げて説明している項目です。[注4]
たとえば、マルチ商法やSNSでの友達づきあいを発端とした金銭トラブル、SNS個人間融資、多重債務などが主な例です。
その上で、トラブルを避けるための方法や、実際にトラブルに遭ってしまった場合の対処法を紹介しています。

なお、この教材は「高校向け」とされていますが、その内容は高校生以外の人にも役立つものばかりです。
金融庁も「一般の方の学習にもご活用ください」としており、幅広い層の活用に適した教材であることがわかります。

金融庁では、さまざまな教材やプログラムを用意しているほか、教育関係者向けのコンテンツも提供しているので、金融教育に使う教材をオリジナルで制作したいという場合は活用を検討してみましょう。

[注4]金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」p110
https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/package.pdf

SMBCコンシューマーファイナンスが用意する教材

SMBCコンシューマーファイナンスの見て学ぶ動画教材で学習するイメージ

次に、SMBCコンシューマーファイナンスの授業でも使える金融教育教材を紹介します。

見て学ぶ動画教材

プロミスでは、未来を担う生徒や地域の方々に向けて、お金に関する正しい知識と適切な判断力を身につけることを目的としたSMBCグループ金融経済教育を実施しています。

SMBCグループ金融経済教育は対面型、リモート型など複数の形式に分かれていますが、その中の「見て学ぶ動画教材 視聴型 」は、学校における金融教育の指導教材として活用することが可能です。
動画教材は、「生活設計・家計管理」「ローン・クレジット」「金融トラブル」など複数のカテゴリに分類されており、親しみやすいイラストや図などを使った動画が豊富にラインナップされています。

これらの動画を学校の授業の足掛かりとして活用し、その後、リモートなどによる受講に繋げるという方法も可能ですので、学校で利用する金融教育の教材やコンテンツをお探しの際は、ぜひプロミスの動画やセミナーをご検討ください。

※SMBCコンシューマーファイナンスの「見て学ぶ動画教材」は公益財団法人 消費者教育支援センターが実施する「消費者教育教材資料表彰2022」において、学校で効果的に活用できる教材資料として【優秀賞】を受賞しています。

公益財団法人 消費者教育支援センター主催「消費者教育教材資料表彰2022」優秀賞

まとめ

成年年齢の引き下げやキャッシュレス決済の普及などにより、学校で金融教育を行い、必要な知識・情報を得る環境を整えることが必要不可欠となっています。
公的機関や企業が提供している教材、コンテンツ、プログラムなどを上手に活用し、利用シーンや目的に合った指導教材を制作・準備しましょう。

既存の教材やコンテンツをそのまま流用するのではなく、わかりやすく伝えられるように創意工夫すれば、オリジナルの教材を用意することが可能です。
さらにプロの手を借りれば、正しい知識をよりわかりやすく児童や生徒、学生たちに提供できますので、積極的に活用しましょう。

「SMBCグループ金融経済教育」は、無料で、ニーズや利用シーンに応じてさまざまな形式で受講することが可能です。
詳しい情報はこちらのページに掲載されていますので、ぜひ学校での金融教育にご活用ください。

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